BPO導入の現場を覗いてみる(前編)

前回は「BPO」について、各企業様が導入するメリットをご紹介したコラムでした。今回は、そのBPOをどのように導入しているのか。実際の現場作業をご紹介します。

フォーカスを絞る


産休に入るので、その休職予定者の業務引継ぎを行う…というような、むやみやたらに業務を習得して実行するということはしません。

まず、どの部分をBPOするのかフォーカスを絞ることから始めます。「人事」、「労務」、「経理」、「購買」…etcなどの職種別を大きな括りとしてフォーカスするのが一般的です。

ここでは例として「人事」にフォーカスを当てます。「人事」といっても企業によって組織編成が様々です。人事部門が単独で行っている場合もあれば、人事、労務、総務、庶務など細分化されている場合もあります。それらの組織には、何名配属されていて、誰がどの役職についており、どんな職務分掌で動いているのかBPO導入の上でとても重要な情報となってきます。

 

スコープを確認する


次に、今回ターゲットとなる業務担当者から実業務のヒアリングを行います。ここでの注意点は、深くヒアリングしないということです。段階的に詳細な作業レベルまでヒアリングを進めていくことを言及し「業務にタイトルを付けたとして、どんな業務を担当されていますか」の粒度でヒアリングします。きちんと目的を伝えて、ヒアリング先導しないと作業レベルまで話が発散してしまうことが、しばしば起こります。自社に関わる人の「採用」から「退職」までの業務にどのように、誰がかかわっているのかを業務一覧としてマトリクス整理していきます。このマトリクス整理がBPO導入成功のカギを握っています。正直、大手企業様でも業務をきちんと階層立てて整理し、業務タイトルをつけて業務管理されているところは、あまりありません。だからこそ、業務を見える化し、スコープを明確にすることが大切です。スコープ

例えば「採用」という業務を大中小の3つスコープで分類してみましょう。大分類は「採用」です。この「採用」にも『人員計画』、『採用活動』、『面接日時設定』、『面接』、『入社時手続き』、『本採用考課』・・・etcなど次の階層の分類ができます。これらを中分類とします。最後は、雇用形態に分けてみます。日本では「高卒」、「高専」、「専門学校」、「大学」、「大学院」、「嘱託」、「契約社員」、「派遣社員」など様々あります。それらを小分類として、中分類の項目毎に分けるれますが、業務の流れがほとんど同じものに関しては、業務フローの中で条件分岐して表現し、極力統一化を図りましょう。

 ここまでくると、業務のタイトルは自動的に決まっています。「大分類_中分類_小分類」で業務のタイトルを決めるのです。例えば「採用_人員計画_(高卒・高専)」といった具合に決めます。これに加えて業務IDを付番することでより管理しやすくなります。これも大分類、中分類、小分類ごとに付番し、それを合わせることでIDを構成しましょう。例えば、大分類(10~90)、中分類(10~90)、小分類(10~90)であるなら「101010」といった具合に付番し、「101010_採用_人員計画_(高卒・高専)」で業務に命名します。

業務概要を把握する


これで、業務一覧を構成する業務名が決まり、マトリクスの

行項目が大方決まりました。しかしまだ、スコープを決めたにすぎません。

次は、業務一覧にまとめた業務名でどのような作業がなされているのか、作業単位に分解していきます。ここでいう作業単位の粒度は『SIPOC』と呼ばれるツールを利用すれば統一できます。これは『Supplier(供給者)』、『Input(内部取込み)』、『Process(作業)』『Output(外部出力)』、『Customer(相手先)』の頭文字をとったものです。SIPOCの『Process』部分が作業単位と言えます。どのように使用するのか、次の例を見てみましょう。例えば、

「人事部署で各現場から人員計画(紙)が提出され、それを集計表(Excel)で集計し、その集計表を紙面印刷して、上司に回付する」

という業務があったとしましょう。この業務は、以下のA)~D)に分解できます。

A)各現場から人員計画(紙)が提出される。

B)集計表(Excel)で集計する。

C)集計表を印刷する。

D)上司に回付する。

それぞれ、SIPOCに当てはめると、以下のようになります。

 

 

Supplier

Input

Process

Output

Customer

A)

各現場

人員計画(紙)

人員計画受理

人事

B)

人事

人員計画(紙)

人員計画集計

人員計画

(Excel)

人事

C)

人事

人員計画

(Excel)

人員計画印刷

人員計画集計表(紙)

人事

D)

人事

人員計画集計表(紙)

人員計画集計表回付

人員計画集計表(紙)

人事上長

例の業務は4つの作業から成り立っていることがわかります。このようにスコープした業務群の一つ一つはどのような作業から成り立っているのかをブレークダウンしていきます。これでマトリクス整理表である業務一覧の行項目が完成しました。このブレークダウンの段階で最初に決めたスコープにも多少の修正が入ります。実際の作業単位でみて気づくことも大いにあるからです。そして、スコープを確定させたところで、業務整理の第一段階は完了します。

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